
在留資格「技能」は、日本国内の公私の機関と締結した契約に基づき、産業特有の高い技能や専門的な能力を活かして就労する外国人向けの就労ビザです。たとえば、飲食や建築、航空、海洋開発など、各分野で独自の技術や経験を有する労働者が担い手として認められる制度です。2021年6月末時点で、約39,603名もの外国人がこの資格により日本で働いており、その実績からも高度な専門性が評価され、日本経済や産業界に欠かせない存在であることが分かります。
在留資格「技能」が対象とする分野は大きく3つに分類され、計9種類の職種が認められています。以下、各分野の内容を詳しくご紹介します。
高度な異国情緒あふれる料理の調理技術を持つシェフ。各国の伝統や食文化を背景に、洗練された調理法を実践します。
外国で習得した独自の建築技術や工法を駆使し、特殊な施工技術が求められる現場で活躍する大工。国内では希少な技術が評価されます。
特定の工業製品における専門知識と実務経験を基に、製造や修理に関する高度な技術を発揮するエンジニアです。
精密な加工技術を必要とする高級素材の加工担当者。伝統と革新が交錯する分野で、確かな技能が求められます。
動物の特性を見極め、的確な調教技術を駆使してパフォーマンスやショー、または動物福祉に寄与するプロフェッショナルです。
国際大会での実績や選手経験を背景に、専門的なトレーニング法を提供する指導者。国内外問わずスポーツ振興に貢献します。
ワインに関する深い知識と、国際的な認定資格や大会の入賞経験を有するワインの専門家です。接客業務だけでなく、マーケティングや流通分野でも重宝されます。
海洋資源開発において高度な技術が必要とされる専門家。海底の厳しい環境下で、探査・掘削技術を発揮します。
実務として250時間以上の飛行経験が求められるプロフェッショナル。安全かつ確実な航空輸送や航空作業に欠かせません。
在留資格「技能」で認められる在留期間は、以下の4パターンから選ばれます。
出入国在留管理庁は、実際の就労期間や企業の規模、経営状況、さらには申請者の希望などを総合的に判断し、適切な在留期間を決定します。更新に際しては、在留期間の通算上限は設定されておらず、条件を満たす限り長期滞在が可能です。
在留資格「技能」を持つ外国人労働者には、配偶者や子どもが「家族滞在」の資格で帯同することが認められています。ただし、対象は直系家族に限定され、義理の両親などの帯同は認められません。
在留資格「技能」を取得するためには、主に以下の2つの要件をクリアする必要があります。
基本原則
日本人の同等職と比較しても遜色のない報酬水準が求められます。これは、労働条件が平等であることを示すための重要な要素であり、業界全体の賃金水準を踏まえて判断されます。
各職種ごとに規定された実務経験年数が設けられており、以下はその一例です。
これらの実務経験要件は、申請者の専門的スキルと実績を客観的に評価するための重要な指標となっています。
在留資格「技能」の申請が認められない主な理由として、以下の点が挙げられます。
事前に必要書類や証明資料の準備、業務内容の整合性の確認を十分に行うことが、スムーズな申請のためには不可欠です。
取得申請は、以下のような手順で進められます。
更新申請は、現行の在留期間が満了する前(通常は残存期間3か月以上)に、所定の更新申請書類を提出することで行われます。更新にあたっては、労働条件、納税状況、業務内容が基準に適合しているかどうかが審査され、適正な証明書類の提出が求められます。
在留資格「技能」は、外国人の高度な専門技能を評価し、日本の各産業分野での貴重な戦力として活躍できる道を提供する就労ビザです。
本記事では、在留資格「技能」に関する基本情報から具体的な職種、取得条件、更新手続きまでを詳しくご紹介しました。外国人労働者としてのキャリアプランをお考えの方や、企業として受け入れ体制を検討されている場合は、最新の公式情報や専門家のアドバイスを活用することをお勧めします。行政書士事務所では、個別のケースに合わせたサポートを行っておりますので、疑問点や不安な点があればお気軽にお問い合わせください。