
就労資格証明書は、入管法第19条の2に基づき、以下のように定義されています。
出入国在留管理庁長官は、日本に在留する外国人からの申請があった場合、法務省令で定める方法により、その者が行うことができる収入を伴う事業の運営活動または報酬を受ける活動を証明する文書を交付することができます。
簡単に言えば、就労資格証明書は、現に保有する在留資格で許可されている活動内容と、実際に行っているまたは行う予定の活動内容が法律の範囲内であることを証明するものです。
そのため、働く外国人にとっては、入管法で定められた活動内容に合致していることを確認する手段となります。また、外国人材を雇用する企業にとっても、入管法の範囲内の活動内容であると入管が認めたことを示すため、安心して外国人材を雇用することができます。
就労資格証明書交付申請は必ずしも義務ではありません。しかし、取得することでさまざまなメリットを享受することができます。以下に主なメリットを解説します。
就労資格証明書を取得することで、ビザの更新がしやすくなります。就労資格証明書は、新たな勤務先での業務内容が入管法に合致していることを入管がお墨付きを与えた証拠となるからです。ただし、他に法律違反があったり、税金の滞納がある場合はビザ更新が認められないこともあります。
就労資格証明書を取得することで、安心して転職が可能となります。新しい勤務先での業務が問題ないと証明されるため、外国人側だけでなく、雇用主側も安心して外国人材を受け入れることができます。
就労資格証明書の取得は、雇用主側にもメリットをもたらします。それは、不法就労者の雇用を防止することです。故意でなくても、不法就労者を雇用すると「不法就労助長罪」に該当し、重大な罰則が科せられる可能性があります。就労資格証明書の取得は、不法就労を未然に防ぐ有効な手段の一つです。
ここでは、就労資格証明書を取得するデメリットについて解説します。
就労資格証明書の申請には、しっかりとした準備が必要です。場合によっては、転職前と転職先の企業から書類を集める必要があり、手間がかかることがあります。また、業務内容が入管法上問題ないかを明らかにする申請であるため、入管法の正確な知識が求められます。
就労資格証明書の交付には時間がかかります。申請から交付までに約1ヶ月程度の時間がかかることが多く、勤務先での業務内容について入管からお墨付きをもらうまでには時間がかかります。
就労資格証明書については、以下の点に注意が必要です。
就労資格証明書の取得には時間がかかるため、在留期限が迫っている場合、申請しても先に在留期間の更新許可が出てしまうことがあります。このような事態を避けるためには、業務内容が変更することがわかった段階で早めに申請することが重要です。
就労資格証明書の取得は必須ではありません。そのため、外国人側が提出しないことを理由に不当な扱いをしてはいけません。入管法第19条の2第2項では、外国人を雇用する際に文書を提示しないことを理由として不利益な取り扱いをすることを禁じています。
就労資格証明書交付申請には、審査基準や必要書類を押さえておく必要があります。以下に主なポイントをまとめます。
就労資格証明書の審査基準は以下の通りです。
就労できる在留資格を有していること
資格外活動許可を受けていること
就労に制限のない在留資格を有していること
就労資格証明書の申請者としての資格は以下の通りです。
本人
申請の取次承認を受けた者(雇用主や法定代理人など)
必要書類
就労資格証明書交付申請の必要書類は以下の通りです。
在留カード
旅券
履歴書
源泉徴収票
転職先の会社謄本
直近の決算報告書
外国人社員リスト
雇用契約書
雇用理由書
就労資格証明書は、外国人が合法的に就労するために重要な文書です。取得することで、在留期間更新時の不許可防止、転職の安心、不法就労者の雇用防止といったメリットがあります。しかし、申請には手間がかかり、交付までに時間がかかるため、早めの準備が必要です。また、取得が必須ではないことを踏まえ、外国人材を雇用する企業としては不当な扱いをしないよう注意が必要です。