
外国人は与えられた在留資格(=ビザ)の範囲内で活動することができます。例えば、「留学」ビザは学校で勉強するために与えられ、「日本人の配偶者」ビザは日本人と結婚し日本で夫婦生活を送るために与えられます。しかし、留学生が卒業して就職先が見つからなかったり、日本人と離婚した場合、在留資格の取り扱いに関して注意が必要です。
多くの留学生や日本人と離婚した外国人は「在留期限がまだ残っているから大丈夫」と考えがちですが、これは大きな誤解です。たとえ在留期限が残っていても、本来のビザの活動を行っていなければ、在留資格が取り消される可能性があります。この制度を「在留資格取消制度」といいます。正しい知識と行動を持っていれば、日本での生活を継続できる可能性が高まります。
在留資格を取り消す場合は、入管法22条の4第1項に規定されています。以下はその具体例です。
偽りその他不正の手段による上陸許可(入管法22-4-1-1, 22-4-1-2, 22-4-1-3, 22-4-1-4)
具体例: 偽名を使用して上陸許可を受けた場合。
在留特別許可を受けたが実態がない場合(入管法22-4-1-5)
具体例: 婚姻の実態がない場合。
在留資格に係る活動を3か月以上行わない場合(入管法22-4-1-6)
具体例: 留学生が不登校で除籍された後、他の学校に入学せず活動しない場合。
配偶者の身分を有する者としての活動を6か月以上行わない場合(入管法22-4-1-7)
具体例: 配偶者と離婚してから6ヵ月以上経過した場合。
ビザを取り消す場合、以下の手続きが行われます。
取消原因の判明
意見聴取通知書の送達
意見聴取の実施
在留資格取消通知書の送達
指定期間内に出国(30日以内)
在留資格の取消しは法務大臣の裁量によるもので、取消事由が存在しても取消手続が開始されない場合もあります。しかし、在留期間更新の許可申請時に拒否される可能性があるため注意が必要です。
取消事由3号から10号の場合
30日以内に出国準備が必要となります。指定期間内に出国しない場合は退去強制事由に該当し、強制的に退去させられます。
取消事由1号から2号の場合
出国準備期間が与えられず、直ちに退去強制事由に該当し、退去強制手続に従って退去させられます。
在留資格取消制度は、外国人が日本で適正に活動するための重要な制度です。正しい知識と行動を持つことで、ビザの取り消しを避け、日本での生活を継続することが可能です。ビザの取り扱いに不安がある場合は、専門家に相談することをお勧めします。