技術・人文知識・国際業務「理由書」の書き方

技術・人文知識・国際業務ビザの在留資格申請において、ほぼすべての案件で提出を求められるのが雇用理由書です。 この書類は、採用した外国人が当該ビザの要件を満たしていること、ひいては企業における雇用の必要性や業務内容の専門性を説明する重要な資料となります。以下では、雇用理由書を作成する際の基本的な考え方と具体的な記載方法、そして注意点をご紹介します。

 

はじめに:雇用理由書の意義と基本構造

 

入国管理局では、雇用理由書のフォーマットや記載方法について明確な指示はありません。そのため、各企業が自社の実情や採用背景に合わせて自由に作成することが可能です。 なお、雇用理由書は申請人自身が作成するものではなく、雇用する企業の視点で記載することがポイントです。提出前には必ず法人印の押印を行い、信頼性を補強しましょう。

 

作成の大まかな流れは、次の4つのセクションで構成されます。

 

会社の概要

 

申請人の採用理由

 

雇用後に従事する職務内容

 

許可後の申請人の進路

 

1. 会社の概要

 

まずは、雇用予定の企業がどのような事業を展開しているかを分かりやすく説明します。 ここで記載すべき主な項目は以下のとおりです。

 

事業内容
:自社が取り扱う商品・サービス、業界でのポジションなど

 

組織体制
:従業員数、支店や店舗の所在地、事業拡大の計画

 

企業理念・社会貢献
:将来的なビジョンや、地域・社会への貢献への取り組み

 

具体的な数字や実績、将来計画などを記載することで、企業全体としての信頼性や安定性をアピールしましょう。

 

2. 申請人の採用理由

 

次に、なぜ当社がその外国人を採用するに至ったのかを明確に記載します。 ここでは、以下の点を盛り込みます。

 

最終学歴および専攻内容 例:申請人が最終学歴(大学または日本国内の専門学校)において、どのような専門知識や技能を習得しているか

 

経歴と応募した職務との関連性 例:申請人が学んだ専門科目が、当社で予定する業務内容とどのように一致しているかを説明する

 

当社が求める人材像との合致 ※「このようなスキルを持つ人材を当社は求めており、申請人の経歴がその要求を十分にクリアしている」という点を明記

 

このセクションでは、採用に至った背景を具体的に記載することで、申請人の業務遂行能力が十分であることを示します。

 

3. 雇用後の職務内容

 

採用理由に続き、申請人が実際に従事する職務内容について、詳細に記載することが必要です。 ポイントは以下の通りです。

 

職務内容は具体的に、かつ複数項目で記載

 

業務量の確保(例:1日8時間、週40時間の就労)を証明できる内容

 

技術・人文知識国際業務に該当する業務内容であること(単なる単純作業ではなく、専門性が求められる業務)

 

最低でも5つ以上具体的な職務内容を挙げ、各業務の役割や目標、必要な技術・知識を説明する

 

採用に至る経緯との関連付け 例:社内で同様の専門業務に従事する人員が不足しているため、申請人の採用が急務であること

 

職務内容の記載には、業務フローや具体的なタスク項目を箇条書きで示すと、審査官にも分かりやすく伝わります。

 

4. 許可後の申請人の進路

 

最後のセクションでは、現在の申請人の状況と、技術・人文知識・国際業務ビザ許可後の進路計画について記載します。 特に、留学からの転換などの場合は、以下の点を重視します。

 

現在の状況

例:在籍している学校、出席率、成績などの基本情報

 

今後の進路

例:学校卒業後の就業計画、あるいは在学中の就業開始計画など

 

申請許可後のキャリアプラン

※長期間にわたり当社での技術・人文知識国際業務に従事することが期待されている旨をアピール

 

進路に関する記述は、申請人が今後のビジネス環境で確固たる役割を果たしていく見通しを示すために重要です。

 

おわりに

 

雇用理由書は、技術・人文知識・国際業務ビザ申請において、申請人が求められるスキルや業務内容との関連性を証明するための重要な補助資料です。 必須書類自体ではありませんが、ほぼ全ての申請案件で提出されるため、その作成には十分な準備と検討が必要です。 まとめると、以下のポイントが鍵となります。

 

企業の実情と将来性を具体的に記載

 

申請人の学歴、専攻内容、及び経歴と業務との関連性を明確に説明

 

実際に従事する職務内容を具体例を交えて複数記載

 

許可後のキャリアプランも含め、申請人の将来性を裏付ける

 

当事務所では、建設、介護、システムエンジニア、コンビニ運営など多様な業種での雇用理由書の作成実績があります。申請が難しいとされる業種でも、しっかりと要件を満たす書類を整えることで、許可を得られるケースは少なくありません。 もし雇用理由書の作成やその他のビザ申請にお悩みの場合は、どうぞお気軽にご相談ください。専門の行政書士が実績に基づいたアドバイスを提供いたします。

 

まとめ

 

雇用理由書は、申請人の最終学歴、専攻科目、企業の概要、及び従事予定の職務内容が、技術・人文知識・国際業務ビザの要件を満たしていることを説明する重要資料です。

 

記載フォーマットは自由で、企業目線で作成し、法人印を押印することが推奨されます。

 

記載内容は、①会社の概要、②申請人の採用理由、③雇用後に従事する職務内容、④許可後の進路の4点に沿って構成。

 

各項目について、具体的かつ詳細に記載することで、審査官に申請内容の信憑性を伝えることができます。

 

技術・人文知識・国際業務ビザの申請において、雇用理由書の内容が申請許可の成否を左右する重要な要素となります。しっかりとした根拠資料とともに各項目を丁寧に記載することが、ビザの取得成功への第一歩です。さらに詳しい情報やケーススタディについても、当事務所のブログやお問合せ窓口で随時更新しておりますので、ぜひ参考にしていただければと思います。

 

行政書士江坂国際法務事務所