技術・人文知識・国際業務の必要書類

外国人が日本で就労する際の主要な在留資格である「技術・人文知識・国際業務ビザ」。 このビザ申請では、企業の規模や事業継続性を示すための各種必要書類の提出が必須となります。 ここでは、書類提出の基本事項から、招へい団体の規模に応じた4つのカテゴリー別必要書類まで、具体的な例とともに解説します。

 

1. 書類提出の基本事項

 

まず、申請に共通して必要な最低限の書類は以下の通りです。

 

在留資格認定証明書交付申請書 ・入国管理局で配布される用紙、または法務省のホームページからダウンロード可能。

 

申請人の顔写真 ・縦4×横3cm、申請前3ヵ月以内に正面から撮影された無帽・無背景の鮮明な写真を使用。 ・指定書類(申請書)に貼付する。

 

返信用封筒 ・定型封筒に宛先記載、簡易書留対応のため404円分の切手を貼付。

 

専門学校卒の場合の学位証明文書 ・専門士または高度専門士の称号が付与されていることを証明する書類。

 

これらはすべてのカテゴリーに共通して必要となるため、申請時は漏れなく準備しましょう。

 

2. 招へい団体の規模別 必要書類の詳細

 

技術・人文知識・国際業務ビザの必要書類は、申請人が就職する団体(招へいする企業・団体)の規模により、4つのカテゴリーに分類されます。団体の規模が大きいほど、安定性が認められ書類が少なくなるのが特徴です。

 

2.1 [カテゴリー1] ― 大手企業・公的機関など

 

対象となる団体(主な例)

 

日本の証券取引所に上場している企業

 

保険業を営む相互会社

 

日本又は外国の国・地方公共団体

 

独立行政法人

 

特殊法人・認可法人

 

日本の国・地方公共団体認可の公益法人および法人税法別表第1に掲げる公共法人

 

イノベーション促進の支援措置対象企業(※最新の特別加算告示など)

 

その他、一定の条件を満たす企業等(詳細は法務省の指定URL参照)

 

必要書類(例)

 

「四季報」の写しまたは、証券取引所に上場していることを証明する文書のコピー

 

主務官庁から設立許可を受けたことを証明する書類のコピー

 

イノベーション創出企業であることを証明する文書や、一定の条件を満たす企業である旨の認定書類

 

大手企業であれば、事業の安定性が既に評価されているため、必要書類も比較的シンプルです。

 

2.2 [カテゴリー2] ― 比較的大きめの中小企業

 

対象となる団体

 

前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表において、源泉徴収税額が1,000万円以上ある団体または個人

 

在留申請オンラインシステムの利用申し出の承認を受けている場合

 

必要書類(いずれか)

 

前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等、法定調書合計表(受付印のあるものの写し)

 

在留申請オンラインシステムに関する利用申し出の承認を受けたことを示す文書

 

中規模企業であれば、財務状況を示す書類が要件を満たしているかどうかが大きな判断ポイントです。

 

2.3 [カテゴリー3] ― 中小企業(従業員あり)

 

対象となる団体

 

前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出されている団体・個人  ※カテゴリー2に該当しない場合

 

必要書類

 

前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印付きのコピー)

 

申請人の活動内容を示す資料 例:労働契約書など、就業内容の詳細が分かる資料

 

申請人の履歴書

 

申請人の大学等の卒業証明書および成績証明書

 

会社の登記事項証明書

 

事業内容を説明する資料 例:会社案内、パンフレット等

 

直近年度の決算報告書の写し ※新規事業の場合は、事業計画書に替えることも可能

 

カテゴリー3の企業は、規模としては中小企業ですが、適正な経営基盤を持っていることを示すための各種補完資料が必要となります。

 

2.4 [カテゴリー4] ― 個人事業主等、その他該当しない団体

 

対象となる団体

 

カテゴリー1、2、3のいずれにも該当しない団体・個人  ※主に個人事業主や小規模事業者となります

 

必要書類 (1)源泉徴収の免除を受けている場合

 

外国法人の源泉徴収に対する免除証明書、または源泉徴収不要であることを示すその他の書類

 

(2)上記(1)を受けていない場合

 

給与支払い事務所等の開設届書のコピー

 

以下のいずれかの資料

 

直近3ヵ月分の給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書

 

納期の特例を受けていることを示す書類

 

個人事業主や小規模な団体の場合は、事業の信頼性や財務基盤を裏付ける追加書類の提出が求められるため、準備すべき資料が多岐にわたります。

 

3. 団体規模に応じた書類提出のポイント

 

規模が大きいほど書類はシンプルに 大手企業(カテゴリー1)は、事業の安定性が認められているため最低限の証明資料で済む場合が多いです。

 

規模が小さい場合は証明資料が豊富に必要 個人事業主や小規模企業(カテゴリー4)は、事業継続性や信頼性を裏付けるため、追加の書類提出が必須となります。

 

各書類の正確性と受付印の有無に留意 法定調書合計表や各種証明書には必ず受付印が必要となるため、最新かつ正確な書類を用意することが求められます。

 

4. 申請成功のための専門家サポートの重要性

 

技術・人文知識・国際業務ビザの申請に際し、必要書類は最低限の必須書類となるものの、許可を得やすくするためには追加書類の提出や資料の整理が重要です。 当事務所では、企業規模ごとの書類チェックリスト作成や、不足資料の補完、さらには各種証明資料の整理に関して、多くの実績を有しております。 専門家のサポートを受けることで、スムーズな申請手続きと許可取得の可能性が大幅に向上します。

 

まとめ

 

全カテゴリー共通の必要書類 ・在留資格認定証明書交付申請書、申請人の顔写真、返信用封筒、専門学校卒の場合の証明文書などを必ず準備。

 

団体の規模による分類 ・カテゴリー1(大手企業)では、上場証明や官公庁からの許可証などで安定性をアピール。 ・カテゴリー2は、源泉徴収票やオンラインシステム承認の書類が必要。 ・カテゴリー3では、給与所得資料のほか、申請人の活動内容、登記事項証明書、決算報告書などを提出。 ・カテゴリー4(個人事業主等)は、免除証明や給与支払い事務所の届出書、所得税徴収高計算書または納期特例の書類が求められます。

 

書類の充実が申請成功のカギ 団体の規模が小さいほど、事業の信頼性や安定性を裏付ける追加書類の量が増え、申請審査への影響が大きくなるため、専門家の支援を積極的に活用することが推奨されます。

 

技術・人文知識・国際業務ビザの申請は、必要書類の準備が非常に重要なポイントとなります。各企業の規模ごとに求められる証明資料を正確に整えて申請することで、ビザ許可への道が開かれます。もし必要書類の準備や申請手続きに不安がある場合は、ぜひ当事務所の専門家にご相談ください。確かな実績と最新情報に基づくアドバイスで、安心して申請手続きを進められます。

 

以上、各カテゴリー別の必要書類とそのポイントについて詳しくご解説しました。最新の法改正や提出書類に関する変更情報は随時更新されますので、申請前に必ず最新情報をチェックすることをお勧めします。 今後、より詳しい解説記事やケーススタディも続々更新予定ですので、引き続きご覧いただければ幸いです。

 

行政書士江坂国際法務事務所