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家族滞在ビザの条件と注意点|外国人労働者の家族支援ガイド
目次
はじめに
日本国内で働く外国人労働者の中には、家族を呼び寄せて一緒に暮らしたいと考えるケースが少なくありません。外国人が日本で生活するためには、本人が就労ビザなど、適切な在留資格を有している必要がありますが、家族が同じく日本で長期間滞在するためには、家族滞在ビザが必要となります。本記事では、家族滞在ビザの基本的な概念や取得条件、就労に関する制限、そして申請時の注意点について詳しく解説します。
家族滞在ビザとは
家族滞在ビザは、就労ビザを取得して日本で働く外国人の扶養を受ける配偶者や子どもが、日本国内で生活するために必要な在留資格です。本来、扶養状態にある家族が、同居して経済的または監護・養育の面で依存していることが求められ、これに基づいて母国から家族を呼び寄せることができます。出入国在留管理庁の定める要件を満たすことで、日本での安定した生活が実現される仕組みとなっています。
家族滞在ビザの取得条件
家族滞在ビザの申請では、いくつかの基本的な条件が設けられています。まず、扶養者(主たる在留資格を有する外国人)との間に、法律上有効な家族関係が存在する必要があります。たとえば、配偶者の場合は正式な婚姻関係を、子どもの場合は出生証明などでその関係が証明されなければなりません。
次に、扶養者には家族を支えるための扶養の意思と、扶養に足る経済的能力があることが求められます。収入による扶養能力は明確な基準が定められているわけではありませんが、一般的な目安として月収18万円程度が必要と考えられます。また、扶養者と家族が正しく同居し、経済的に依存している状態であることが重要です。
さらに、申請に際しては、家族が快適に暮らせるよう、住居が十分に確保されていることも条件となります。居住環境に関しては、家族の人数に応じた広さや間取りであることが求められ、賃貸契約書のコピーや間取り図などの提出が必要です。
取得後の就労について
家族滞在ビザは、本来、就労活動を主たる目的としていない在留資格です。そのため、原則として被扶養者は就労することが認められていません。しかし、生活を維持するためにどうしても働く必要がある場合には、入国管理局が定める「資格外活動許可」を取得することで、一定時間内(1週間あたり最大28時間)での就労が可能となるケースがあります。
資格外活動許可には、包括許可のほか、特定の条件を満たす場合に付与される個別許可があります。いずれにしても、就労に関する制限が厳格に管理されており、扶養を受ける状況が維持されることが前提となっています。
申請時の留意事項
家族滞在ビザの申請にあたっては、いくつかの注意点があります。まず、扶養者との関係が法律上有効であることを十分に証明しなければなりません。結婚や出生に関する公的な証明書類が必要です。また、扶養能力の証明としては、住民税の課税証明書や納税証明書などを用いて、収入面で十分であることを示す必要があります。
さらに、家族滞在ビザは被扶養者が就労活動を原則として行わないため、その範囲内での行動が求められます。特に、父母は呼び寄せることが認められておらず、配偶者との離婚や子どもの成人後の在留資格の取り扱いにも注意が必要です。また、留学ビザを持つ外国人の場合、扶養者の収入や生活基盤の証明が厳しく求められることがあるため、慎重な準備が必要です。
当事務所では、家族滞在ビザに関する申請実績も豊富にありますので、申請書類の準備や相談を検討中の方は、専門家に相談されることをお勧めします。
まとめ
本記事では、外国人労働者の家族が日本で安心して暮らすために必要な家族滞在ビザの基本概念、取得条件、就労に関する制限、そして申請時の重要な留意事項について解説しました。家族滞在ビザは、扶養関係の証明や生活環境の確保、そして収入面での条件など、法令に基づいた厳格な要件が設定されています。そのため、申請前には十分な準備と確認が不可欠です。
企業や行政書士事務所の担当者は、外国人労働者の家族支援においてこれらの情報を正確に理解することが、より良い受入れ体制の構築と円滑な手続きの実施に繋がります。最新の法令改正や各種注意事項を踏まえ、今後も正確な情報提供に努めることが求められます。
行政書士江坂国際法務事務所