
短期滞在ビザは、観光や商用目的など一時的な滞在を前提として発給されるため、原則として更新は認められていません。しかし、例外的に人道上の事情やその他特別な事情が認められる場合、延長も可能となるケースがあります。本記事では、短期滞在ビザの更新や在留資格変更の最新情報・具体例を解説し、行政書士として知っておくべきポイントを詳しくご紹介します。
原則としての更新不可
短期滞在ビザは、訪日目的が限定的であり、90日~180日程度の短期間の滞在を前提に発給されます。そのため、基本的には滞在期間の更新は認められず、期間満了前に一度帰国し、再度査証(ビザ)を取得する形での運用が原則です。
更新が認められる例外的事情
しかしながら、場合によっては「人道上の真にやむを得ない事情」またはそれに相当する特別な事情が存在する場合、更新申請が受理される可能性があります。具体的には、入国後に突発的な病気や災害などによって、予定通り帰国できないなど、やむを得ぬ状況が証明された場合です。ただし、こうした申請は厳格な審査を受け、証拠書類の提出や詳細な事情説明が求められます。
補足ポイント:
証明書類:医師の診断書や事故報告書など、説得力のある証拠が必要です。
審査基準:在留期間中が入国日から通算180日以内であることが求められ、これを超えている場合は一層厳しい審査が行われます。
短期滞在ビザの根幹となる考え方は、「短期」であること。すなわち、日本での滞在期間が年間半数(180日)を超える状況は、本来のビザの趣旨にそぐわないと判断されます。
180日以内が目安:入国時点から通算して180日を超える場合、例外的事情があっても更新が認められるのは非常に限定されます。
審査の厳格化:180日を超えた場合は、更新理由の立証がより厳しく求められるため、十分な根拠を示すことが必須です。
短期滞在ビザは本来、就労や長期在留を目的としていません。そのため、状況によっては在留資格の変更(ビザの種類の変更)を検討する必要があります。以下に、よくある変更事例とその条件・手続きについて解説します。
短期滞在中に「在留資格認定証明書」が交付された場合、出国せずに滞在資格の変更が認められるケースがあります。
ポイント:証明書発行前に在留期間が終了する場合は、結果待ちのために更新延長が認められないため、一度出国が必要となる可能性があります。
原則として、短期滞在中から就労ビザ(例:技術・人文知識・国際業務など)への変更は認められていません。
通常の手続き:一度日本を出国し、在外公館で「在留資格認定証明書」を取得してから再入国する必要があります。
例外措置:短期滞在中に証明書が交付された場合、事情が認められれば在留資格変更が可能となりますが、ケースは限定的です。
一部の外国人については、定住や特定活動の在留資格該当性を満たしているにもかかわらず所定の告示に該当しない場合、短期滞在からの変更が「やむを得ない特別の事情」として認められる場合があります。
実例:本人の事情や人道的配慮に基づき、やむを得ず変更が認められるケースが存在します。
下記の在留資格変更は、特に人道上の利益が考慮されるケースとして、比較的柔軟に判断される傾向があります。
連れ親類型:実親が高齢(概ね65歳以上)で扶養を受ける必要がある場合、日本国内での子の扶養能力が認められると、特定活動としての変更が可能となります。
日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者:長期にわたる関係性が認められる場合、証明書不要で在留資格変更が認められることもあります。
注意点:「家族滞在」への直接変更は認められておらず、通常は一度出国後、在留資格認定証明書を取得して再入国する必要があります。
・原則として短期滞在ビザの更新は認められない 短期滞在は一時訪問を目的としているため、原則更新は不可ですが、人道上の理由など特別な事情があれば例外的措置が可能です。
・180日の制限に注目 入国から180日以内に留まることが前提となっており、この基準を超える場合は更に厳しい審査が適用されます。
・在留資格変更の選択肢 短期滞在中の在留資格変更は、就労や家族との関係性を根拠に認められる場合がありますが、手続きや必要書類が厳格に定められているため、事前の十分な準備が不可欠です。
・専門家のサポートが重要 各種手続きは複雑なため、行政書士などの専門家に相談することで、スムーズな申請とリスク管理が期待できます。
本記事で解説した内容は、短期滞在ビザの更新及び在留資格変更に関する基本的な考え方と手続きのポイントです。制度や基準は変更されることもあるため、最新の情報を常にチェックし、正確な判断のもと申請を行うことが大切です。もしご不明な点がございましたら、当事務所までご相談ください。