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短期滞在から「日本人の配偶者等」への在留資格変更 ~やむを得ない事情が鍵
目次
はじめに
外国人配偶者が海外に居住している場合、日本へ呼び寄せるためには「在留資格認定証明書交付申請」を行うのが基本となります。しかし、この方法では来日前に1~3ヶ月の期間が必要となるため、渡航までの間、家族が離れて暮らすことになってしまいます。たとえば、中国人の場合、短期滞在ビザを利用して日本に入国するか、査証免除国に該当する国籍(韓国、台湾や欧米諸国)であればノービザで渡航するケースが見られます。
しかし、入国管理の原則として「短期滞在」から「日本人の配偶者等」への在留資格変更申請は原則認められていません。本記事では、原則の例外として「やむを得ない特別の事情」が認められる場合の手続きについて、具体的な方法から必要書類や審査のポイントまで、わかりやすくご説明いたします。
短期滞在からの在留資格変更の原則
入国管理局の手続き上、短期滞在中の在留資格から「日本人の配偶者等」への変更申請は、基本的に認められていません。これは、短期滞在ビザはあくまで一時的な滞在を目的としており、長期的な生活や就労を想定していないためです。そのため、通常は、海外で必要書類を揃え「在留資格認定証明書交付申請」を行い、事前に日本への呼び寄せ手続きを進める必要があります。
やむを得ない特別の事情と事前相談
しかしながら、原則は例外となる場合があります。たとえば、突然の健康不安、急な子供の誕生、あるいは病気等、やむを得ない特別の事情が認められる場合、短期滞在から「日本人の配偶者等」への在留資格変更が認められる可能性があります。
このような場合は、申請前に必要書類一式を整え、入国管理局の永住審査部門など担当部署に事前相談を行うことが重要です。事前相談で審査担当者に書類の内容を確認してもらい、特別事情が認められる場合には、変更申請に対して柔軟な対応が期待できます。
申請手続きの具体的手法
短期滞在ビザで日本に入国後、在留資格変更の手続きを進める方法として、2通りの手段が考えられます。
事前相談型: 短期滞在入国前または入国直後に、必要書類一式を準備し、永住審査部門に事前相談を行い、その上で変更申請を実施する方法。これにより、特別事情が認められれば、在留資格変更の申請が受け付けられる可能性があります。
短期滞在中の変更手続き: 短期滞在ビザ(90日以内)で来日し、できるだけ早期に在留資格認定証明書交付申請を提出。短期滞在期間内に証明書が発給された場合、その証明書を添付し、帰国せずに在留資格変更許可申請を行う手法です。この方法でも、必ず永住審査部門への事前相談が必要です。
Q&A:短期滞在から配偶者ビザへの変更は可能ですか?
結論として、原則として短期滞在から「日本人の配偶者等」への在留資格変更はできません。しかし、以下のような「やむを得ない特別の事情」が認められる場合には、変更が許可される可能性があります。
- 短期滞在中に日本で婚姻届を提出した場合
- 婚姻済みの外国人配偶者が短期滞在で偶然来日中の場合
- 夫婦間に幼い子どもがいる場合
上記に該当する場合は、専門家(行政書士など)に相談の上、必要書類を整えた申請を進めることが推奨されます。
必要書類について
配偶者ビザ(「日本人の配偶者等」)への在留資格変更申請を行う場合、主に以下の書類が必要となります。これらは、正当な婚姻関係および日本での生活基盤が確立されていることを証明するためのものです。
- 在留資格変更許可申請書(1通)
- 在留カードおよびパスポートのコピー
- 結婚ビザ変更申請理由書
- 質問書
- 履歴書
- 身元保証書(日本人配偶者のもの)
- 外国機関発行の結婚証明書
- 夫婦のスナップ写真(2~3枚)
- 戸籍謄本
- 住民税課税証明書および納税証明書
これ以外にも個別の事情に応じた書類の提出が求められる場合がありますので、申請前に十分な準備と確認を行うことが重要です。
まとめ
短期滞在で来日した外国人配偶者が「日本人の配偶者等」の在留資格への変更を希望する場合、原則としてその変更は認められていません。しかし、特別な事情―たとえば婚姻届の提出、子供の誕生や病気など―が認められる場合、事前に必要書類一式を準備し、永住審査部門への事前相談を経て申請を行うことで、在留資格変更の可能性が生じます。また、短期滞在期間中に在留資格認定証明書を取得し、変更申請をする手法も存在します。
配偶者ビザとしての在留資格変更を成功させるためには、正確な書類の準備と、専門家のサポートを受けることが極めて重要です。最新の入国管理局の方針に基づき、十分な経緯書類を整えた上で申請手続きを進めることで、円滑な在留資格変更が期待できます。
行政書士江坂国際法務事務所