日本人の配偶者等における子の要件






「日本人の配偶者等」に該当する人とは?|行政書士が徹底解説




 

 

 

目次

 

 

 

 

はじめに


在留資格「日本人の配偶者等」は、日本人のご家族が日本で安定した生活を送るための重要な制度です。日本人と結婚した方だけでなく、「日本人の特別養子」や「日本人の子として出生した者」も、この在留資格の対象となる場合があります。本記事では、各区分ごとの具体的な要件と、その背景にある法的趣旨について、行政書士の視点から詳しく解説いたします。

 

 

 

「日本人の配偶者」とは?


「日本人の配偶者」として在留資格を取得するためには、現時点で法律上の婚姻関係が有効であり、実際の夫婦生活が営まれていることが必要です。すなわち、日本人配偶者が既に亡くなっている場合や、離婚後では認められず、夫婦間に同居や相互扶助の実態が確認されなければなりません。

申請時には、結婚の経緯や交際期間、共同生活の証拠として住民票、賃貸契約書、写真、さらには日常の連絡記録など、具体的な資料が求められる場合があります。これらの資料により、単なる形式上の婚姻ではなく、実際に信頼できる夫婦関係が存在するかどうかが審査されます。

 

 

 

「日本人の特別養子」とは?


在留資格「日本人の配偶者等」の対象には、日本人との特別養子縁組により法的親子関係を形成した者も含まれます。ここで注意すべきは、養子縁組には「普通養子縁組」と「特別養子縁組」の2種類があり、在留資格の対象となるのは特別養子縁組によって成立した場合のみという点です。

特別養子縁組制度は、子どもの福祉増進を目的として、実親との法的親子関係を解消し、養親が実子として育てる仕組みです。家庭裁判所の厳格な審査と、一定期間の監護状況の評価を経た上で認められるため、安定した家庭環境が求められます。

 

 

 

「日本人の子として出生した者」とは?


「日本人の子として出生した者」とは、出生時に父または母が日本国籍を有していた場合や、父が出生前に死亡していた場合、または日本国内で生まれた際に父母が不明・無国籍であった場合に、日本国籍を取得できる者を指します。日本の国籍法は、血縁を重視する「血統主義」を採用しており、出生により日本国籍が認められる条件が厳密に定められています。

なお、婚姻をしていない日本人の父と外国人の母との間に生まれた場合、胎児認知の時期によっては出生時に法的親子関係が確定せず、日本国籍の取得に影響することがあります。出産後の認知の場合は、別途法務大臣への届け出など、一定の手続きを経る必要があります。

 

 

 

特別養子縁組制度とその手続き


日本における特別養子縁組制度は、養子となる子どもが本来受けるべき保護と福祉を最優先に考え、実親との関係を断つ決定的な制度です。日本人が外国人の子を特別養子とする場合、家庭裁判所の審判に基づき、以下の要件が求められます。

 

     

  • 養子となる子どもは、原則として一定の年齢(例:従来は15歳未満、制度改正により年齢上限が変更される場合もあり)であること
  •  

  • 養親には、既に配偶者がいる場合、夫婦共に養親となることが求められる(夫婦の一方のみの場合、一定の年齢条件が設けられる)
  •  

  • 実父母の同意が原則として必要。ただし、父母が行方不明や、虐待・遺棄など福祉上の理由が認められる場合には同意が免除されるケースもある
  •  

  • 養親の元での養育が、子どもの福祉向上に特に資すると判断されること
  •  


また、外国人の子を特別養子とする場合は、家庭裁判所の審判後に戸籍法に基づいた各種届出を行い、「特別養子縁組届出受理証明書」や審判書の写しを添付して、「日本人の配偶者等」の在留資格認定証明交付申請、または在留資格変更申請を行うことになります。

 

 

 

まとめ


在留資格「日本人の配偶者等」は、日本人の配偶者のみならず、特別養子縁組により法的親子関係が成立した者や、日本人の子として出生した者も対象となります。
各区分ごとに、婚姻の実態、養子縁組の厳格な要件、出生時の法的親子関係の確定など、さまざまな条件が求められます。
これらの手続きや条件を正確に理解し、必要な証拠書類をしっかりと準備することが、在留資格取得成功への鍵となります。
不明点や不安がある場合は、専門の行政書士にご相談されることをおすすめします。