日本人の配偶者等取得後に離婚した場合






離婚後の在留資格変更:『日本人の配偶者等』ビザの取り扱いとその選択肢




 

 

 

目次

 

 

 

 

はじめに


日本人の配偶者として在留資格を得た外国籍の方々は、婚姻関係に基づき日本での生活が認められています。しかし、離婚が成立すると、その根拠が失われ在留資格は取り消される可能性が高くなります。本記事では、離婚時の在留資格の取り扱いや、必要な届出、そして定住者ビザや就労ビザなど別の在留資格への変更可能性について、行政書士の視点から詳しく解説いたします。

 

 

 

離婚と『日本人の配偶者等』ビザの無効化


「日本人の配偶者等」という在留資格は、日本人との婚姻関係が存在することを前提に認められたビザです。離婚が成立した場合、これは当然のことながら無効となり、在留資格の根拠が消失します。たとえ在留期間が残っていたとしても、入国管理局により速やかに取り消される恐れがあります。

入国管理局は、離婚などで婚姻関係が消滅した場合、該当ビザを保持し続けることを認めず、速やかに帰国するか、または他の在留資格へ変更するよう指導しています。

 

 

 

速やかな届出の重要性


離婚または死別といった理由で「日本人の配偶者等」ビザの根拠が失われた場合、外国籍の方は離婚または死別の日から14日以内に、最寄りの出入国管理官署へ「配偶者に関する届出」を提出する義務があります。この手続きが遅れると「届出義務違反」となり、今後の在留資格変更申請の審査で不利な結果を招くリスクがあります。

 

 

 

離婚後の在留資格変更の選択肢


離婚後も日本に滞在するためには、既存の「日本人の配偶者等」ビザから別の在留資格へ変更する必要があります。以下の選択肢が、変更可能なケースとして挙げられます。

 

 

1. 子どもがいる場合


日本人の配偶者との間に子どもがいる場合、外国籍の方が親権を有しており、安定した資産や収入があるときは、「定住者」ビザへの変更が認められる可能性があります。なお、子どもが出生した際に、父または母が日本国籍を有していることが条件となります。

 

 

2. 婚姻期間が長い場合


子どもがいなくても、婚姻期間が3年程度以上ある場合であれば、安定した収入や資産があることを証明することで、「定住者」ビザへの変更が可能となるケースがあります。ただし、この婚姻期間は目安であり、離婚に至った経緯やその後の事情が審査の際に考慮されます。

 

 

3. 就労ビザへの変更


その他、外国籍ご自身の学歴や職歴、専門知識を生かして就労する条件を満たしている場合、就労ビザへの変更も検討できます。具体的には、以下のようなケースがあります。

 

     

  • 大学卒業などの学歴があり、通訳・翻訳、営業、経理、法務、設計などの職務に従事する場合(「技術・人文知識・国際業務」ビザ)
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  • 特殊な技能を有する職人や料理人(「技能」ビザ)
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  • 語学教師としての実績がある場合(「教育」ビザ)
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  • 企業経営者や個人事業主の場合(「経営・管理」ビザ)
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4. その他の選択肢


経済的な事情や学業継続を目的として、留学ビザへの変更も一考の価値があります。また、再婚する場合は、新たな婚姻関係に基づき、再度「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」、あるいは「家族滞在」などの在留資格の申請が必要となります。

 

 

 

まとめ


「日本人の配偶者等」ビザは、日本人との婚姻関係に基づいて在留が認められる制度です。しかし、離婚が成立するとその資格は失われ、速やかな届出および別の在留資格への変更が求められます。状況によっては、子どもがいる場合や婚姻期間、または就労資格に応じて定住者ビザや就労ビザへの変更が可能です。離婚手続きと同時に、今後の在留について十分に検討し、専門家である行政書士と相談の上、最適な対応を進めることが重要となります。