死別定住








(告示外)「死別定住」ビザとは:必要要件と在留資格変更のポイント解説





(告示外)「死別定住」ビザとは:必要要件と在留資格変更のポイント解説





 

 

 

はじめに


「死別定住」ビザは、本来、定住者告示に基づく在留資格の枠内に該当しない外国人であっても、日本人、永住者、または特別永住者の配偶者等が死亡した後、引き続き日本に在留することを希望する場合に認められる制度です。離婚定住とは異なり、配偶者の死別という特別な事情に基づくため、独自の審査基準が適用されます。

 

 

 

定住者ビザの概要と「死別定住」ビザの位置づけ


定住者ビザは、永住者と同様に日本国内でのあらゆる活動に制限がなく、たとえば風俗業を含むどのような職種でも従事できる在留資格ですが、在留期限が定められているという点で永住権とは異なります。特に「死別定住」ビザは、結婚生活中に得た「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」の資格が、配偶者の死去後も続けて日本に在留したい外国人向けに設計されたものです。

このビザは、告示外定住の一形態として、定住者告示上の明確な枠組みに入らないものの、特別な理由が認められた場合に在留が許可される制度です。

 

 

 

在留期間


「死別定住」ビザの在留期間は、申請者の事情や審査結果に応じて、5年、3年、1年、または6か月のいずれかが認められます。具体的な期間は、生活基盤や経済状況、その他の要件を踏まえて決定されます。

 

 

 

「死別定住」ビザの要件


「死別定住」ビザの許可を受けるには、以下の要件のいずれにも該当する必要があります。

 

     

  • 婚姻関係と家庭生活: 配偶者の死亡前、概ね3年以上にわたり日本で正常な婚姻関係・家庭生活が維持されていたこと。
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  • 経済的自立: 生計を維持するに足る資産または技能を有していること。
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  • 日本語能力: 日常生活に支障がない程度の日本語能力があり、通常の社会生活が営めること。
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  • 公的義務の履行: 税金、保険などの公的義務が適切に履行されている、または将来的に履行される見込みがあること。
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「死別定住」ビザのポイント


審査では、下記の点を特に重視します。

 

     


  • 婚姻期間と家庭生活の実態: 別居期間があっても、夫婦間の相互扶助や交流が持続していた場合、審査上のマイナス要因とはならない可能性があります。
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  • 日本語コミュニケーション能力: 申請書類や面接で、日常生活に不自由しないレベルの日本語でコミュニケーションが取れることが確認されれば十分です。
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「永住者の配偶者等」から「定住者」への在留資格変更許可


「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」の在留資格を持っている外国人が、配偶者の死亡により在留資格が失効する危機に直面した場合、場合によっては「定住者」または「永住者」ビザへの変更が認められる可能性があります。入国管理局は、申請者の活動状況、在留の必要性、その他の事情を総合的に判断し、「適当と認めるに足りる相当の理由」がある場合に変更を許可します。

この判断は、法務大臣から権限の委任を受けた地方入国管理局長の裁量に委ねられており、各事例ごとに慎重に審査されます。

 

 

 

まとめ


「死別定住」ビザは、配偶者の死去後も日本での生活を維持したい外国人に対して、特別な事情を考慮の上で認められる在留資格です。申請にあたっては、死亡前の婚姻関係および家庭生活の実態、経済的自立、日本語能力、公的義務の履行といった要件が重要視されます。また、場合によっては「永住者の配偶者等」から「定住者」への在留資格変更が認められる可能性もあります。

いずれの場合も、離婚定住とは異なり、各事例で求められる審査基準や必要書類は細かく異なるため、専門の行政書士に相談して、適切な申請準備を進めることが成功の鍵となります。