定住者ビザ基礎知識と申請方法の完全ガイド
定住者ビザとは?基礎知識と申請方法の完全ガイド
(告示外)「婚姻破綻定住」ビザとは:要件と在留資格変更のポイント解説
(告示外)「婚姻破綻定住」ビザとは
「婚姻破綻定住」ビザは、定住者告示に定める在留資格の枠内には該当しないものの、日本人、永住者または特別永住者との婚姻が事実上破綻し、引き続き日本に在留することを希望する外国人に対して設けられた在留資格です。法律上は婚姻関係が存続している場合でも、実態として夫婦間の協力や共同生活が行われず、修復の見込みがないと判断された場合に適用されます。
このビザの在留期間は、5年、3年、1年、6か月のいずれかとなり、申請者の状況に応じた柔軟な対応がなされます。
「婚姻破綻定住」ビザの要件
「婚姻破綻定住」ビザの許可を受けるためには、以下の条件のうち、いずれかに該当し、さらに以下の共通要件(❸及び❹)が満たされている必要があります。
正常な婚姻関係の継続:
日本において、概ね3年以上にわたり正常な婚姻関係と家庭生活が継続していたと認められること。なお、DVなどにより婚姻の継続が困難になった場合も、この要件の代替として認められるケースがあります。
DV被害等:
正常な婚姻関係・家庭生活が継続した後、DV(家庭内暴力)などにより被害を受け、実質的に婚姻関係が破綻したと認められる場合。
さらに、共通して以下の要件が求められます:
- 生計維持能力: 生計を営むに足りる資産または技能を有していること。
- 公的義務の履行: 税金や各種保険などの公的義務を適切に履行している、またはその履行が見込まれること。
また、「婚姻が事実上破綻」とは、法的な婚姻は存続しているものの、夫婦双方に婚姻継続の意思がなく、同居や相互扶助といった活動がほとんど行われず、修復・維持の可能性がない状況を指します。
「永住者の配偶者等」から「定住者」への在留資格変更許可
「婚姻破綻定住」ビザは、従来、「日本人の配偶者等」または「永住者の配偶者等」の在留資格で日本に滞在していた外国人に対し、婚姻関係が事実上破綻した場合、引き続き在留を希望する際に適用されるケースが多いです。入管法では、配偶者の地位としての活動を6ヶ月以上継続していないことが判明した場合、在留資格の取消し対象となる可能性があります。
このような場合、申請者が新たに「永住者」または「定住者」ビザへの変更を申請することが認められる場合があります。この変更は、「適当と認めるに足りる相当の理由」があると判断されると、法務大臣から権限の委任を受けた地方入国管理局長の裁量により許可されます。外国人の行おうとする活動、現在の在留状況、及び在留の必要性等を総合的に勘案して審査されます。
配偶者ビザの更新
なお、婚姻関係が完全に破綻していない場合は、従来の「日本人の配偶者等」または「永住者の配偶者等」ビザの在留期間更新の可能性も検討されます。しかしながら、婚姻関係が事実上破綻している状態であれば、更新申請が不許可となる可能性が高く、速やかに在留資格変更の手続きに移る必要があります。
まとめ
(告示外)「婚姻破綻定住」ビザは、婚姻関係が事実上破綻したものの、日本での生活基盤が確立している外国人に対して、在留資格変更を認めるために設けられた制度です。普通の婚姻関係が継続していた場合と同様に、3年以上の正常な婚姻期間、十分な生計維持能力、公的義務の履行が重視され、DVなどの特別な事情がある場合には、その事情が審査で加味されます。
また、「永住者の配偶者等」から「定住者」への在留資格変更許可は、適当と認めるに足りる相当の理由がある場合に限定的に認められ、各事例が総合的に審査されます。婚姻が完全に破綻している場合、配偶者ビザの更新が認められなくなるため、早期に専門家と相談しながら適切な在留資格変更手続きを進めることが重要です。