配偶者ビザ申請における収入の重要性とその対策

 

はじめに

配偶者ビザの申請では、ただ婚姻関係が真実であることを示すだけでなく、日本での生活基盤が経済的に安定しているかどうかを証明する必要があります。特に日本人配偶者の収入は、今後の生活の安定性を左右する大切な要素となります。ここでは、収入の実態や求められる証明書類、そして収入が低い場合の具体的な対策について解説します。

 

 

収入がもたらすリスクと安定性の証明

仮に結婚が真実であったとしても、日本人配偶者の収入が十分でない場合、申請が不許可となる可能性が高まります。これは、外国人配偶者の生活費が増加すると、日本国内での生活が維持できず、生活保護などの公的支援に依存するリスクがあるためです。なお、外国人配偶者自身が既に安定した職に就いている場合は、このリスクは低減されます。

収入の基準は一律に「○○万円以上」と定められているわけではなく、それぞれの家庭の生活環境や支出状況に応じた判断が求められます。例えば、実家暮らしで家賃負担がないケースでは、収入が全国平均を下回っていても、安定した生活が送れると評価される可能性があります。

 

 

収入証明書で見る実態

入国管理局は、日本人配偶者の収入を直近年度の課税証明書および納税証明書に基づいて評価します。これらの書類は配偶者ビザ申請において必須の添付資料であり、収入の有無を客観的に判断するための重要な根拠となります。正確な書類の提出が、審査通過の鍵となります。

 

 

収入が低い場合の対応策

日本人配偶者の収入が低い場合でも、生活が安定していることを証明するための対策は多数存在します。具体的には、まず親族からの援助が期待できる場合、その旨を記載した書類と援助者の収入証明書を添付する方法があります。また、貯蓄や不動産などの資産状況が、今後の生活を支える根拠として評価されることも考慮されます。

さらに、失業中であっても就職活動の進捗や就職先の見込みを示すことで、経済的な安定性を補強することができます。家賃が不要な実家での生活など、生活環境の優位性も有力な証拠として提出可能です。多角的な資料の準備により、現在の収入状況だけでは測れない安定性をアピールすることが求められます。

 

 

個人事業主・経営者への注意点

個人事業主の場合、確定申告が適正に行われない、または経費を過大に計上していると、課税証明書上の収入が実際よりも低く反映される危険があります。収入がゼロと見做されるリスクを避け、正確な収入証明を実施することが大切です。

また、会社経営者の方も、役員報酬が設定されていなかったり、非常に低い水準に抑えられている場合、個人の所得が十分に反映されず、結果として収入の証明が不十分となる可能性があります。こうした場合、期中の役員報酬の改定や、株主総会の議事録などを添付し、今後の収入見通しを明示する対策が必要です。

 

 

まとめ

配偶者ビザ申請は、婚姻の真実性だけでなく、日本での生活が経済的に安定しているかを立証する手続きでもあります。日本人配偶者の収入は、課税証明書や納税証明書を通じて客観的に評価されるため、正確な申告と適切な証明書類の用意が不可欠です。収入が低い場合でも、親族の援助、資産状況、就職見込みなど、生活全体の安定性を示す資料を整えることで、申請の成功率を高めることが可能です。確かな書類と対策で、安心して配偶者ビザの申請に臨みましょう。