オーバーステイ(不法滞在)がある場合の永住申請のポイント
目次
概要と結論
結論:過去にオーバーステイ(不法滞在)の経歴があっても、永住許可の申請は不可能ではない。ただし審査は厳格になり、現状の在留状況・税・社会保険・生活の安定性・再発防止策が重視される。出入国在留管理庁のガイドラインに基づく総合的判断が行われる点が重要である。
永住許可の審査基準とガイドラインの要点
永住許可の基本的な審査は「素行善良性」「独立した生活能力」「日本の利益への合致」「継続在留年数」などの観点から行われる。法令上の厳密な年数のみが一律に障害になるわけではなく、ガイドラインを踏まえた個別判断がなされる。
実務上は、「過去の違反がどの程度か」「同種の違反が再発していないか」「現在の生活基盤(就労・納税・社会保険等)が整っているか」が評価の中心となる。
在留特別許可と婚姻などの特例の扱い
オーバーステイの後、在留特別許可を得て合法に在留している場合、永住申請可否は在留特別許可の有無だけで決まらない。婚姻等による在留年数の特例(例:日本人配偶者等の場合、婚姻3年以上かつ日本での継続在留1年以上など)もガイドラインの定める条件に従って評価される。
ただし該当特例を使う場合は「現在有する在留資格で最長の在留期間を受けて在留していること」が求められる旨の運用上のポイントがあるため、単に年数だけ満たせば良いという単純な扱いにはならない。
実務上の準備と必要書類
主な確認事項
- 現在の在留資格と在留期間の状況(「最長の在留期間」で在留しているかどうか)
- 過去の違反の内容・時期・再発防止策の有無
- 税・社会保険の納付実績(源泉・確定申告・健康保険の加入等)
- 収入の安定性、家族構成、生活実態(賃貸契約・公共料金・子どもの就学など)
揃えるべき書類(典型例)
- 在留カードの写し・在留資格認定関連書類
- 納税証明・確定申告書の控え・源泉徴収票
- 社会保険(健康保険・年金)加入履歴の証明
- 雇用契約書、給与明細、事業収支や預金通帳の写し
- 婚姻関係を証する写真や家計の実態を示す書類(配偶者がいる場合)
- 違反の経緯と再発防止の具体策をまとめた陳述書
ポイント:単に書類を並べるだけでなく、ストーリー(過去問題の解決・現在の安定・将来の見通し)を一貫して示すことが審査上の信頼回復に直結する。
許可を得やすくするためにできること
1. 税・保険は早急に整理する
過去の未納や遅延があれば整え、納付の証明を残す。改善努力の履歴(分割納付の合意、支払計画等)を示すことが重要である。
2. 現在の生活の安定性を強化する
安定した居住・就労、家族との同居や教育関係の証拠など、日常生活が社会に適合していることを示す資料を整える。
3. 再発防止策を具体化する
過去の経緯を整理し、再発防止のための行動(行政手続きの適正化、就労先の変更、継続的な申告対応など)を文書化しておく。
4. 専門家に相談する
過去の違反があるケースは、書面の作り方・証拠の揃え方で結果が大きく変わる。早めに行政書士等の専門家に相談して準備を進めるとよい。
よくある質問と回答(要点)
Q:オーバーステイがあると永住は「絶対に」無理ですか?
A:いいえ。絶対に無理ではないが審査はより厳格になる。現在の生活実態や再発防止の証明が審査で重視される。
Q:「10年在留しなければ永住できない」というのは本当ですか?
A:その表現は誤解を招きやすい。法令上一律の待機年数が定められているわけではなく、ガイドラインに基づき総合判断される。婚姻等の特例も運用上の条件がある。
Q:在留特別許可を出された後、すぐに永住申請できますか?
A:在留特別許可が出てから永住申請が可能になるケースはあるが、在留の継続性・税・保険・素行の回復が十分に示されることが前提で、個別事案で判断される。
まとめ
過去にオーバーステイの経歴があっても、永住申請は不可能ではない。重要なのは現在の在留状況と、税・保険・就労などの生活実態、過去違反の再発防止策を具体的に示すこと。ガイドラインに基づく総合判断が行われるため、早めに証拠を整え、必要であれば専門家に相談して申請戦略を立てることをおすすめする。
注:本文は一般的な解説であり、個別事案の判断は実際の書類や背景事情に依存します。個別相談をご希望の方は事前に準備を整えてご相談ください。


