


永住許可を目指す方がまず確認すべき基本要件と、よくある例外(特例)、申請時の注意点、取得後に必要な手続きを実務視点でまとめました。
永住許可は多数の要件を満たす必要があり、不備があると不許可のリスクが高くなります。申請前に在留履歴、納税・社会保険の状況、出入国記録、家族関係や資産状況を整理してください。不安がある場合は事前に専門家へ相談することが時間と労力の節約になります。
法律上、永住許可の判断は主に次の4点に基づきます。
日本の法令を遵守し、社会的に非難される行為がないことが求められます。重大な刑罰や繰り返す違反があると不利です。過去の刑事罰がある場合は事後の経過年数や反省の状況を証拠で示す必要があります。
自己あるいは扶養者の資産・収入・技能により今後安定して生活できる見込みが必要です。審査では課税証明書や給与明細、事業収支、銀行残高などで安定性を確認します。目安として過去の継続的な収入や貯蓄実績が重視されます。
生活保護等の公的扶助に依存していないこと、将来も自立して生活できることが重要です。申請者の年齢・健康・職歴・資格等から総合的に判断されます。
単に在留しているだけでなく、納税や社会参加、専門技術や家族関係による社会的貢献の度合いが評価されます。長期にわたり日本に定着し、社会的信頼を得ているかがポイントです。
原則として「引き続き10年以上日本に在留」していることが求められます。そのうち就労系の在留資格(技能実習・特定技能1号は除く)または居住資格で通算5年以上在留していることが必要です。
具体例
留学で7年、その後就労ビザで3年のケースは要件を満たしません。直近5年間についても就労資格であることが求められるため、過去の断続的な就労履歴だけでは不足する場合があります。
在留資格が途切れていないことが前提です。再入国許可(みなし再入国許可を含む)を得て一時出国する場合は在留が継続しますが、再入国許可を得ない出国や、在外中に在留資格が失効した場合は在留が消滅します。
出国日数が多いと「引き続き」と認められない可能性があります。明確な基準は公表されていませんが、1回の長期出国(例:90日以上)や年間の累計で長期滞在があると不利に働き得ます。
以下は代表的な要件緩和のパターンです。要件の適用可否は個別事情で判断されます。
| 特例の種類 | 主な緩和内容 |
|---|---|
| 日本人等の配偶者・実子 | 婚姻が実体あるものとして3年以上、かつ日本で継続1年以上在留で短縮 |
| 定住者 | 定住者の在留資格で同一性を保ち5年以上在留で短縮 |
| 難民認定者 | 認定後5年以上継続在留で短縮 |
| 高度人材(ポイント制) | 70点以上で3年、80点以上で1年の在留で申請可能 |
| 日本への特別な貢献 | 経済・文化等の貢献が認められる場合、在留年数短縮の対象 |
高度人材制度はポイント算定により短縮要件が細かく分かれており、申請時点での得点や過去の得点状況が審査に影響します。
課税証明書、納税証明書、給与明細、事業収支、預金残高、住民票、在職証明、学歴・資格証明など、安定性や日本での定着性を示す書類を漏れなく揃えてください。
過去の出国日数や再入国許可の有無は入管で照会されます。長期出国の理由や業務都合については説明書や裏付け資料(勤務証明、履修証明等)を用意してください。
未納があると審査に悪影響です。過去数年分の納税・社会保険加入記録を確認し、問題があれば事前に整理しておきましょう。
軽微な違反であっても累積があると指摘され得ます。過去の違反については経過や対応(罰金支払い等)を示す証拠を揃えておくと良いでしょう。
申請は在留資格の有効期間内に行う必要があります。在留期間が満了する恐れがある場合は在留期間更新申請を同時に行うなどの対策が必要です。
永住者となると基本的に在留期限はありませんが、在留カードの記載事項に変更があれば適時届け出が必要です。またカードの更新や再交付のルールに従って手続きを行ってください。
転居した場合は住民票の移動と合わせて14日以内に出入国在留管理局へ居住地変更届を出す必要があります。氏名・国籍等の変更も同様に速やかに届け出てください。
在留カードを紛失したらまず警察に遺失届を提出し、その後再交付申請を行ってください。汚損時や記載事項変更時も再交付手続きが必要です。
永住許可は個別事情で判断が変わるため、書類の整備や出入国履歴の整理、特例の該当性の判断などで専門的判断が必要な場面が多くあります。複雑な履歴や不安がある場合は早めに専門家に相談することをおすすめします。
相談のご案内(行政書士江坂国際法務事務所)
永住許可の審査は「素行・生計の独立性・公共負担にならないこと・国益への合致」の4点を軸に判断されます。原則は引き続き10年、うち就労系または居住系で通算5年が基準ですが、配偶者や定住者、難民、高度人材といったケースでは短縮特例が適用されることがあります。出入国の頻度、納税・保険履歴、家族や資産の状況が審査で重視されるため、事前に証拠を整え、必要に応じて専門家と準備を進めてください。