永住申請と世帯年収:世帯収入の取り扱いと実務チェック




永住申請と世帯年収:世帯収入の取り扱いと実務チェック


永住許可で問われる「独立の生計」は申請者個人の経済的安定性が中心です。ここでは、家族の収入がどう評価されるか、家族滞在者のアルバイトは合算できるのか、配偶者ビザの場合の取り扱い、審査でよく見る注意点と書類準備の実務をまとめます。




基本原則:独立の生計とは

永住許可の審査では「本人が公的扶助に頼らず将来にわたり安定した生活を維持できるか」を中心に判断します。法令は具体的な年収額を定めていませんが、実務上は年収の額だけでなく収入の継続性・安定性、納税・社会保険の履歴も重視されます。


実務メモ:単身者の目安として年収約300万円が一つの目安として扱われることが多いが、あくまで目安であり家族構成や資産によって求められる基準は変わります。



家族滞在ビザでのアルバイト収入の扱い

「家族滞在」資格で来日した配偶者・家族が資格外活動許可を受けてアルバイトをすることは可能ですが、原則としてその収入は申請者の世帯年収として合算されにくい点に注意が必要です。


主な理由



  1. 家族滞在の趣旨は「扶養される立場」であり、就労が本来の目的ではない

  2. 資格外活動の労働時間は週28時間が原則で、長時間就労は制限されている

  3. 入管審査では「主たる稼ぎ手が申請者本人であるか」が重視される


アルバイト収入を当てにして申請する場合、審査で否認されるリスクが高まります。家族の収入を考慮してもらえるケースは限定的です。



配偶者ビザ(身分系)の場合の取り扱い

申請者本人が「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者」などの身分系在留資格を持つ場合は、本人に就労制限がなく世帯収入の合算が認められやすい傾向があります。配偶者が正社員や継続的な収入源を持っている点は、定着性のプラス材料です。
ただし、以下の点に注意してください:両者とも住民税非課税だと審査は厳しくなる可能性があること、扶養関係は正しく自治体等に届け出ていることが重要であること。



世帯年収の計算例と実務的目安

審査では「世帯全体で生活できるか」を見る場合がありますが、どの収入を合算できるかはケースバイケースです。実務でよくある考え方と例を示します。








ケース 扱い(実務)
申請者のみ就労(扶養家族あり) 申請者の収入が中心、扶養のため必要年収は上がる
配偶者が就労(配偶者ビザや日本人配偶者) 配偶者収入を合算して審査されやすい
家族滞在者のアルバイト収入 原則は合算されにくい(例外的に認められる場合もある)

実務上の目安:家族構成に応じた目安(例)— 単身者:約300万円、世帯(配偶者あり):300万円+配偶者分20〜30万円、子1人につきさらに20〜30万円を上乗せする場合がある。あくまで目安です。



審査で用意すべき主要書類



  • 住民税の課税(または非課税)証明書(直近数年分)

  • 給与明細(直近3〜6か月)、源泉徴収票、雇用証明書

  • 配偶者や扶養家族の所得証明(合算を主張する場合)

  • 世帯の家計を示す通帳の写しや預金残高証明

  • 扶養関係を裏付ける住民票(世帯全員記載)、契約書類、公共料金等の共有実績


書類は直近数年の推移で収入の継続性・安定性が分かるように揃えると審査で有利になります。



不正な申告や「非課税」のリスク

税金や扶養の虚偽申告、実態に即さない扶養登録は審査で重大なマイナスになります。たとえば「見せかけの扶養」で非課税を得ている場合、入管は詳細を精査します。
また、申請者本人が非課税で配偶者も非課税という状況は、経済力不足として拒否事由となることがあるため注意してください。



申請前チェックリスト(実務)



  1. 申請者本人の収入と直近数年の納税証明を確認する

  2. 配偶者や同居家族の収入を合算する場合は、所得証明・源泉票等を揃える

  3. 家族滞在者のアルバイト収入を合算しない前提で申請書類を作成する(合算を主張する場合は明確な根拠を準備)

  4. 扶養の実態(住民票、同居証明、生活費の負担状況)を示す証拠を揃える

  5. 非課税の理由がある場合は、なぜ非課税か(扶養控除等)を説明できる資料を用意する

  6. 転職直後や収入が一時的に下がっている場合は、安定した勤務継続の実績が出るまで申請を待つことを検討する



まとめ

永住許可における「独立の生計」は個人の収入とその安定性が中心で、世帯年収は補助的な評価として扱われます。家族滞在ビザのアルバイト収入は原則として合算されにくく、配偶者ビザや日本人配偶者がいる場合は世帯収入が審査で参照されやすいです。重要なのは収入の継続性・納税履歴・社会保険加入状況・扶養の実態を適切に証明することです。不安がある場合は書類を整えた上で専門家に相談してください。