帰化申請の条件である生計要件とは


帰化申請の7つの要件のうち、生計要件は「申請者本人または同居の家族の収入・資産で安定した生活を維持できること」を指します。単身での収入だけでなく、扶養する・される親族を含めた家計全体で判断されるのがポイントです。



1. 生計要件とは

国籍法第5条第1項第4号に規定される生計要件は、「公的扶助に頼らず、自立した生活が送れること」を意味します。申請者本人だけでなく、同一世帯の親族全員の収入・資産・技能等を合算し、生活費(家賃・食費・光熱費など)を賄えるかどうかを審査します。



2. 本人に収入が無い場合

申請者本人が無職・専業主婦でも、同居する配偶者や子どもに安定収入があれば生計要件を満たせます。世帯全員の収入合算で「継続的に生活できるか」が判断基準です。



2.1 収入の安定継続性


毎月一定額の収入があることが必須。給与所得者は源泉徴収票や課税証明書で安定性が確認されますが、事業収入は波があるため3年以上の安定継続が望ましいとされています。



2.2 個人事業主の場合


直近3年分の確定申告書に記載の「所得金額」(売上-経費)が試金石。経費で所得を圧縮し過ぎていると、生計要件を満たすと認められません。3年とも十分な所得実績があることが重要です。



2.3 会社経営者の場合 & 預貯金


法人の債務超過がない健全な経営状況下で、役員報酬が利益水準に見合うことが求められます。直近3年分の法人税・所得税納税証明書で会社利益と報酬バランスを証明しましょう。
預貯金は生計要件の補完材料。生活費(家賃・教育費等)を1年以上賄える残高があれば、生計維持の裏付けとして評価されます。ただし、一時的な大口振込で残高を水増しするのは避け、実態通りの通帳コピーを提出しましょう。




3. 生計要件のまとめ



  • 生計要件は「世帯全員の収入・資産で安定生活ができるか」を審査。

  • 給与所得者は源泉徴収票・課税証明書、事業主は確定申告書3年分が証拠資料。

  • 法人経営者は会社利益と役員報酬のバランスを重視。

  • 預貯金は補完的資料として有効だが、一時的な操作はリスク。

  • 国内外からの定期送金も安定収入の評価ポイントになる場合がある。


生計要件は個別事情により基準が変動します。申請前に必要書類と家計状況を整理し、専門家へ相談することをおすすめします。