帰化が許可される素行要件とは

帰化の素行要件について：犯罪歴・納税状況・交通違反のポイント解説

素行要件とは

帰化申請において最も重要な要素のひとつが「素行要件」です。これは国籍法第５条第１項第３号に基づき、申請者が常識に沿った善良な生活態度を維持しているか―すなわち、過去の犯罪歴、納税実績、交通違反の有無などを総合的に評価するものです。

素行要件のポイント

素行要件では、主に以下の3点が審査の中心となります。ここでは各ポイントの具体的な基準と注意点について解説します。

① 犯罪歴の有無

申請者の犯罪歴は、在留資格違反（例えば不法滞在など）と、窃盗や暴行などの法律違反に大別されます。いずれの場合も、過去に起訴されたり刑罰を受けた記録があると、一定期間帰化申請が認められにくくなるため、反省と改善の期間を十分に設ける必要があります。

② 納税の状況

住民税や年金の納付状況は、申請者が日本において安定した生活を営んでいるかどうかの重要な指標です。会社員の場合は給与から自動天引きされることが多いですが、転職などで滞納が発生していないか、自己管理がなされているかどうかも審査の対象となります。個人事業主や法人経営者の場合、その他の税金も含めた納税状況が求められます。

③ 交通違反

交通違反の履歴も素行審査では大きなポイントとなります。軽微な違反が直近５年以内に複数回ある場合、または重大な交通ルール違反（飲酒運転、大幅なスピード違反、人身事故など）を起こした場合は、帰化申請の承認が難しくなる可能性があります。日頃から安全運転を徹底し、違反のない生活が求められます。

審査期間中の犯罪行為に関して

帰化申請が一旦受理された後も、審査期間（おおよそ1年程度）中の行動は厳しく監視されます。この期間中に新たな犯罪行為や交通違反が発生した場合、法務局へ速やかに自己申告することが不可欠です。隠蔽せず誠意を持って対応することが、最終判断に大きく影響します。

帰化の素行要件のまとめ

素行要件は、帰化申請において申請者が日本社会に適合した生活態度を有しているかを判断するための総合的な基準です。過去の犯罪歴、納税状況、交通違反の各ポイントが審査の鍵となりますが、申請後の審査期間中も常に高い素行が求められるため、普段からの行動に十分注意することが必要です。現状に不安がある方は、専門家である行政書士に早めに相談し、対策を講じることをお勧めします。

行政書士江坂国際法務事務所