国際結婚手続きの流れ|必要書類と注意点を行政書士が解説③




国際結婚手続きの流れと必要書類のすべて―行政書士が解説





はじめに


国際結婚を成立させ、日本で共に生活するためには、婚姻手続きとその後の在留資格(配偶者ビザ)取得の両方が必要です。婚姻手続きは日本と相手国双方の法律に基づいて行う必要がありますが、相手が日本にいなくても必要書類が整えば手続きは可能です。本記事では、婚姻届の記入前に知っておくべき基礎知識から、手続きの流れ、必要書類、そして配偶者ビザ取得の注意点まで、行政書士の視点で詳しく解説します。




婚姻手続きの基本の流れ


国際結婚の場合、婚姻手続きは原則として以下の2段階で行います。




  1. ① 片方の国の役所で婚姻手続きを行う(創設的届出):
    まず、日本または外国のいずれかの国で婚姻を正式に成立させます。


  2. ➁ もう片方の国の役所に婚姻の事実を届け出る(報告的届出):
    婚姻成立後、もう一方の国で婚姻事実を報告し、必要書類を提出します。


どちらの方式でも婚姻が成立すれば、日本国内ではその事実が戸籍に反映され、後の配偶者ビザ申請の基礎となります。




必要書類とその入手方法


・ 日本方式の婚姻の場合


日本方式で婚姻届を提出する際、主に以下の3点の書類が必要です。(市区町村によって異なる場合があるため、事前に確認をしてください。)



  • 婚姻届: 市区町村の戸籍窓口やホームページで入手可能

  • 婚姻要件具備証明書(日本語訳付き): 外国人配偶者が婚姻可能な状態であることを証明する書類。相手国の在日本大使館や領事館にて発行

  • パスポートのコピー(日本語訳付き): 外国人配偶者の顔写真ページと記載事項のコピー


・ 報告的届出の場合


すでに外国で婚姻が成立している場合、以下の書類が必要となります。



  • 婚姻届

  • 外国で発行された婚姻証明書(日本語訳付き)

  • 外国人配偶者の出生証明書、国籍証明書またはパスポートのコピー(日本語訳付き)




婚姻届の提出先と記入・提出時の注意点


婚姻届は、日本全国の市区町村役場へ提出できます。例えば、外国人配偶者との旅行中や観光先でも提出可能ですが、書類の記入ミスや添付書類の不備が発覚した場合、後の連絡が取りにくくなる可能性があります。安心して手続きを進めるためには、ご自宅に一番近い市区町村役場への提出が推奨されます。

また、婚姻届はその後、配偶者ビザの申請書類の一部としても利用できるため、控えを必ず保管しておくことが重要です。控えが役所から作成されることはないため、スマートフォンで写真撮影するかコピーを自ら用意しておくと良いでしょう。




配偶者ビザ取得:婚姻後の次のステップ


婚姻が正式に成立しても、それだけでは外国籍の配偶者が日本に居住できるわけではありません。日本で生活するためには、配偶者ビザ(在留資格「日本人の配偶者等」)の取得が必要です。

配偶者ビザの申請では、結婚の信憑性、夫婦の生計を支える収入、外国人配偶者の過去の素行などが厳しくチェックされます。特に、外国人配偶者が日本にいない場合は、日本にいる日本人配偶者が在留資格認定証明書(COE)の交付申請を行い、その後、日本の在外公館で査証手続きを進めます。

※ビザ取得には配偶者ビザ申請書類(婚姻届、戸籍謄本、身元保証書、質問書など)も必要となるため、必要書類の整合性を十分に確認して申請しましょう。




行政書士がサポートできること


国際結婚の手続きは、国ごとに要求される書類や手続きが大きく異なるため、初めての場合は特に混乱しやすいです。行政書士は、婚姻届の記入から必要書類の取得、翻訳やアポスティーユの確認まで、すべての手続きを円滑に進めるためのサポートを提供します。また、配偶者ビザ申請においても、各種書類の整合性を確保し、審査の厳格化に対応できるアドバイスを行います。




まとめ


国際結婚の手続きは、婚姻届の記入・提出から始まり、必要書類(婚姻要件具備証明書、パスポートのコピー、戸籍謄本など)の準備、そしてその後の配偶者ビザ取得へと続きます。婚姻手続きは、日本方式と外国方式という2つの方法があり、どちらの方式を採用するかは、双方の居住状況や相手国の法律により異なります。

書類の有効期限、アポスティーユの認証、そして外国にいる配偶者の署名の確保など、細かな注意点が多々あります。不安があれば、専門知識を有する行政書士に相談することで、スムーズな手続きと安心した婚姻成立、そしてその後の在留資格取得につながります。まずは各機関に事前確認を行い、必要書類を漏れなく準備することが成功の鍵です。