国際結婚をした場合の国籍について|手続きと注意点を解説



 

国際結婚をした場合の国籍について

 

 

 

 

はじめに


国際結婚を経て日本で夫婦として生活を始める場合、配偶者ビザなどの在留資格を取得することになりますが、結婚によってお互いの国籍が自動的に変わるわけではありません。ここでは、国籍に関する基本的な考え方と、必要に応じた国籍取得手続きのポイント、さらには子どもの国籍および離婚後の影響について詳しく解説します。

 

 

 

基本:国籍は原則として変更されない


日本人と外国籍の方が結婚しても、原則としてそれぞれの国籍は維持されます。つまり、日本人は日本国籍のままであり、外国籍の配偶者も元々有していた国籍を保持します。これは婚姻手続きとは別の問題であり、国籍はそれぞれの国の法律に基づいて決められています。

ただし、サウジアラビア、イラン、エチオピアなど一部の国では、同国人の配偶者に対して自動的にその国籍が与えられる場合があるため、国際結婚の場合には当該国の法律の確認が必要です。

 

 

 

相手の国籍を取得する場合の手続き


日本人が結婚相手と同じ国籍を取りたい場合は、婚姻手続きとは別に「国籍取得(帰化)」の手続きを行う必要があります。国籍取得の条件は国ごとに異なり、居住年数、収入、生計基準など厳しい条件が設定されている国もあれば、比較的容易に取得できる国もあります。各国の法律を十分に確認し、適切な手続きを進めることが求められます。

注意点として、日本の法律は二重国籍を認めていないため、自らの意思で外国国籍を取得すると、日本国籍を自動的に喪失する可能性があることにも留意が必要です。

 

 

 

日本国籍を取得する方法(帰化申請)


外国籍の配偶者が日本国籍を希望する場合は、日本の法務局に帰化申請を行います。通常の外国人が帰化する場合、連続して5年以上日本に居住していることが求められますが、日本人と結婚している場合は、下記のいずれかで住所条件が緩和されます。

 

     

  • 引き続き3年以上日本に住所があり、かつ、現在も日本に居住している
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  • 婚姻の日から3年が経過し、かつ、引き続き1年以上日本に居住している
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ただし、帰化申請には住所条件だけでなく、生計条件や素行条件など他の要件もあり、すべてを満たす必要があります。

 

 

 

国籍選択と喪失の手続き


日本は二重国籍を認めていないため、日本人が自らの意思で外国国籍を取得した場合は、国籍喪失届を提出しなければなりません。国籍喪失届は、外国国籍取得の事実を知った日から3か月以内に、在外公館や市区町村役所に提出する必要があります。

また、二重国籍となった場合には、二重国籍となった日から2年以内(18歳未満の場合は20歳まで)に、日本か相手国のいずれかの国籍を選択する「国籍選択届」または、離脱の意思を示す「国籍離脱届」を提出する手続きが求められます。

なお、手続きに必要な書類として、戸籍謄本、外国国籍を有することの証明書、住所を証明する書類、本人確認書類などが挙げられます。

 

 

 

国際結婚における子供の国籍


国際結婚した夫婦の間に子供が生まれた場合、父または母のどちらかが日本人であれば、その子供は出生届を期限内に提出すれば自動的に日本国籍を取得します。ただし、生地主義を採用している国(アメリカ、カナダなど)で出生した場合、何も手続きをしなければその国の国籍が与えられてしまうため、出生届提出時に「国籍留保の届出」を行う必要があります。

国籍留保を行うと、子供は20歳に達するまでに日本国籍と相手国籍のどちらかを選択する義務が生じます。また、もし日本国籍を失ってしまった場合でも、18歳未満であれば一定の条件下で日本国籍の再取得が可能です。

 

 

 

離婚後の国籍


結婚だけでは国籍は変わらず、離婚をしてもそれぞれの国籍は原則影響を受けません。日本人は離婚後も日本国籍を保持し、外国籍の方もそのままの国籍になります。ただし、在留資格(ビザ)については、離婚後の取り扱いが変わる場合があります。たとえば、日本人の配偶者等の在留資格を持っていた外国人配偶者は、離婚後に速やかな在留資格の変更手続きが必要です。

 

 

 

行政書士によるサポート


帰化申請やビザ申請においては、個々の家族状況や勤務、経済状況に応じた必要書類が異なるため、手続きが複雑になることがあります。どの書類をどのように揃えるべきか、また自身が各要件を満たしているかについて不安がある場合は、行政書士などの専門家に相談することで、手続きの滞りやミスを防ぐことができます。

 

 

 

まとめ


国際結婚によって、結婚当事者それぞれの国籍は原則として変わりませんが、相手の国籍を取得する手続きや、日本国籍を取得する帰化申請、さらには二重国籍の問題など、各国の法令に基づいた適切な手続きが必要です。また、子どもの国籍や離婚後の在留資格の取り扱いにも十分な注意が必要となります。こうした複雑な手続きや条件をクリアするためには、専門家のサポートを得ることも有効です。まずは、自分たちがどの手続きや条件に該当するのかをしっかりと確認し、必要な手続きに遅れがないように準備しましょう。