国際結婚手続きの流れ|必要書類と注意点を行政書士が解説①




国際結婚をするための手続きと必要書類の詳細ガイド





はじめに


国際結婚をするためには、日本と相手国それぞれの法律に則った婚姻手続きが必要です。どちらの国で婚姻を成立させるかにより、「日本方式の婚姻」または「外国方式の婚姻」と呼ばれる2種類の方法があります。ここでは、それぞれの手続き方法と必要書類、注意点について行政書士の視点から詳しく解説します。




婚姻方式の違い


国際結婚においては、以下の2つの方式で婚姻手続きを行います。




  • 日本方式の婚姻:
    まず日本で婚姻届を提出して婚姻を成立させ、その後、相手国の役所または在外公館(大使館・領事館)に必要書類を提出します。


  • 外国方式の婚姻:
    まず相手国でその国の法律に従って婚姻を成立させた後、日本の役所へ婚姻に関する必要書類を提出します。


相手が既に日本に中長期滞在している場合は日本方式が、また日本人側が海外に住んでいる場合は外国方式がスムーズに進むケースが多く、採用する方式は相手国の国籍等によっても左右されます。




国際結婚に必要な書類とその取得方法


ここでは、日本方式の婚姻で日本の役所に提出する主な必要書類3点について説明します。なお、必要書類は各市区町村によって異なる場合があるため、事前の問い合わせが重要です。


① 婚姻届


婚姻届は、日本人同士の結婚と同様の手続きを行います。役所で用紙を入手するか、自治体のホームページからダウンロードが可能です。


② 婚姻要件具備証明書(日本語訳つき)


婚姻要件具備証明書は、その人が独身であり、法律上結婚が可能な年齢に達しているなど、婚姻の要件を満たしていることを証明する書類です。国によって結婚要件は異なるため、例えば日本では男女とも18歳から結婚できますが、海外では16歳~21歳と幅があります。 このため、発行された婚姻要件具備証明書があれば、該当国の法律上婚姻に問題がないことを証明できます。


③ パスポート(日本語訳つき)


結婚相手となる外国籍の方のパスポートの顔写真ページのコピーと、同ページの記載事項の日本語訳が必要です。


婚姻要件具備証明書の取得先


この証明書は、相手国の在日本大使館や領事館で発行されます。場合によっては、本国で出生証明書や独身証明書などを先に取得する必要があります。制度が存在しない国の場合、代替書類(宣誓書など)を用意する必要があります。


宣誓書とは?


宣誓書は、本国の法律で定める結婚年齢に達していることや、日本人との結婚に法的障害がないことを宣誓し、当該国の領事が署名する書類です。宣誓書がない場合は、パスポート、国籍証明書、出生証明書などと共に必要書類として提出します。




国際結婚の手続きの流れ


【日本方式の婚姻】




  1. ① 日本の役所で必要書類を確認する:
    市区町村の役所に直接問い合わせ、婚姻届、婚姻要件具備証明書、パスポートのコピー等の必要書類を確認します。また一部の書類には「アポスティーユ」が必要かも確認しましょう。


  2. アポスティーユの確認:
    アポスティーユは、書類の真正性を相手国に保証するため、外務省が認証するもので、取得した書類に付される必要があります。書類提出前に必ず役所へ確認してください。


  3. ② 相手国の大使館・領事館で必要書類を取得する:
    婚姻要件具備証明書など、相手国側の書類が必要な場合、在日本大使館や領事館で取得し、必要に応じて日本語訳を添付します。


  4. ③ 日本語訳を準備する:
    必要書類に対して、自作または翻訳者による日本語訳を準備し、翻訳者の情報(名前・連絡先)も記入します。


  5. ④ 日本の役所で婚姻手続きを行う:
    すべての必要書類が揃ったら、役所に婚姻届を提出し、婚姻届受理証明書を受け取ります。


  6. ⑤ 相手国の大使館・領事館で婚姻手続きをする:
    日本での婚姻手続き完了後、相手国の大使館もしくは領事館に必要書類を提出し、相手国での婚姻手続きを進めます。



【外国方式の婚姻】




  1. ① 相手国の婚姻手続きの方法を確認する:
    まずは、相手国の大使館・領事館のホームページ等で手続きの流れや必要書類をチェックします。


  2. ② 日本の役所で必要書類を取得する:
    日本人側の婚姻要件具備証明書など、必要な書類を市区町村の役所や在外公館から入手します。


  3. ③ 相手国で婚姻手続きを行う:
    相手国の法律に従い、婚姻手続きを完了させます。


  4. ④ 日本の大使館・領事館で手続きする:
    婚姻成立後、3か月以内に日本の大使館・領事館または本籍地の市区町村に婚姻届を提出し、相手国で発行された婚姻証明書(日本語訳付き)などを添付します。




婚姻手続きをする際の注意点


婚姻手続きにおいては、必ず以下の点に注意してください:



  • 身分証明書およびパスポートで本人確認されるため、必ず本人が手続きを行うこと。

  • 各種公的書類には、有効期限が設定されている場合があるので、取得時に必ず期限を確認する。

  • 必要書類は国や市区町村により異なるため、提出前に担当窓口へ事前確認を行う。




二人で日本に住むためには配偶者ビザの取得が必要


婚姻が成立しただけでは、外国籍の結婚相手が日本に居住できるわけではありません。夫婦で共に日本で生活するためには、外国籍の方が「日本人の配偶者等」の在留資格を取得する必要があります。また、すでに中長期の在留資格を持っている場合は、該当する在留資格に変更する手続きも必要です。

配偶者ビザの申請では、婚姻証明書、戸籍謄本(または戸籍謄本の代替書類)、滞在費用の証明、身元保証書、質問書など、多数の必要書類が求められます。




行政書士がサポートできること


国際結婚に関する手続きは、各国の法律や書類の要件が複雑に絡むため、ミスなく進めるのは容易ではありません。行政書士は、必要書類の一覧作成、取得方法の相談、書類の整合性チェック、また申請書類の作成全般において専門的なサポートを提供します。審査の厳格化が進む中で、専門家の助言を得ることで、不備による遅延や不許可のリスクを大幅に低減できます。




まとめ


国際結婚の手続きは、日本と相手国の双方で行う必要があり、「日本方式の婚姻」と「外国方式の婚姻」のどちらを採用するかは、それぞれの事情に応じて判断します。必要書類の準備、アポスティーユの確認、各種公的証明書の有効期限の確認など、細心の注意が求められます。また、婚姻そのものと、配偶者ビザの取得手続きは別であり、夫婦で一緒に日本で生活するためには、配偶者ビザの取得が不可欠です。

手続きが複雑で不安な場合は、ビザ申請や帰化などに精通した行政書士へ相談することで、円滑な手続きの進行を図ることができます。まずは、市区町村や在外公館に事前に確認を行い、必要な書類を漏れなく準備しましょう。