外国人起業家のための銀行口座開設ガイド:会社設立前に押さえる手続き




目次




銀行法人口座開設のハードル


近年、外国人が日本で設立した法人の口座開設は厳しくなっています。マネーロンダリング防止のための規制強化や、
連絡不能による口座放置への対応コスト増大が背景です。審査では在留資格だけでなく、事業内容や規模、年商を総合的に判断されます。

必要書類を揃えるだけでなく、事業計画書や予想損益表を自発的に提出すると、審査通過率が上がるケースもあります。



会社設立のステップ




  1. 会社の基本方針を決定する



    どのような事業を行うかを明確化し、「会社の目的」「社名」「所在地」「資本金」「株主・役員構成」などを策定します。
    許認可が必要な業種なら、行政書士に相談して要件をチェックしましょう。



  2. 会社用の実印を作成する



    社名が確定したら早めに印鑑発注を。印鑑の辺の長さは1cm超×3cm以内の正方形で、
    登記時に「印鑑届書」を提出します。



  3. 定款を作成し公証人認証を受ける



    定款の雛形をベースに、会社の目的や組織を反映させて作成します。
    株式会社なら公証役場で公証人の認証を受ける必要があります。



  4. 資本金を個人口座に払込む



    発起人の日本国内の個人口座へ資本金を払い込み、「払込証明書」を作成します。



  5. 商業登記を法務局で申請する



    定款認証後、代表取締役の選任や添付書類を整え、法務局で登記申請。
    登記完了日が会社設立日になります。



  6. 経営管理ビザを取得する



    会社設立後、取締役就任を条件に経営管理ビザ申請が可能です。
    要件が厳しいため、専門家と計画的に進めましょう。



  7. 法人口座を開設する



    法務局登記完了後、銀行で法人口座申込。審査項目が多いので、資料は余裕を持って準備してください。




口座が必要になるタイミング




  • 資本金払込み時

    発起人の個人口座で資本金を管理。日本住所がない場合は、住所有りの人を代表発起人に据えるか、
    短期の経営管理ビザ取得を検討します。


  • 設立後の取引

    取引先との入金・出金には法人口座が必須ですが、開設まで時間を要する例が多いため
    初期は代表者個人口座で代用するケースもあります。



口座開設に必要な書類


個人口座



  • 在留カードまたはマイナンバーカード

  • 銀行印

  • 在籍証明書(社員証・学生証など)



法人口座



  • 履歴事項全部証明書(6か月以内発行)

  • 法人印鑑証明書(6か月以内発行)

  • 代表者の在留カード・マイナンバーカード

  • 許認可業種の場合は許可証・届出証明

  • 実質的支配者証明(必要に応じて)



口座開設時によくあるNGケース




  • 信用情報に問題

    滞納履歴や公共料金未払があると審査落ちの原因になります。


  • 実態のある事務所がない

    バーチャルオフィスのみでは口座開設を断られやすいです。


  • 融資期待が低い

    銀行は融資メリットを重視するため、業容が小さいと不利になります。


  • メガバンク申込

    取引実績ゼロで都市銀行を狙うと審査が厳しくなります。
    インターネット銀行や信用金庫、ゆうちょ、地方銀行から攻めると通りやすい傾向です。



まとめ


日本で会社を設立し、法人口座をスムーズに開設するには事前準備と綿密な書類作成が欠かせません。
経営管理ビザの有無や事業計画の説得力が審査を左右します。
手続きの負担を軽減し、本業に専念するためにも、専門家のサポートを積極的に活用しましょう。